思い込みは禁物だわね、とつくづく思った管理人 ぺんでございます。
大塚家具といえば高級家具店。社長がかわったって、そうそうすぐにお店の雰囲気が変わるものじゃないでしょ、と思い込んでいた私が間違っておりました。
以下、大塚家具体験談でございます。
始まりはソファ探しから
おネコ様の日々の爪とぎ攻撃に耐えきれず、ボロッボロになったソファをついに買い換えることになった。
次に来るソファも爪とぎのターゲットになることは目に見えていたから、高いものはいらいない。安いもので十分だった。
けど、座り心地はいいほうがいい。
安くて座り心地の良いものを探そうと考えた時点で、ハードなミッションになることは目に見えていたのだが、最初の段階ではそんなことはこれっぽっちも考えていなかった。
なんたってお値段以上のあのニトリがあるのだ。
ニトリにいけば何とかなる。店舗に並んでいるソファ全部に腰をおろしてみれば、ひとつくらい気に入るソファがあるはず……。
ごろ寝ができるように3人がけ。
爪とぎされても目立たないように布製で。
5万、6万?そのぐらいあれば十分だよね。
なんて甘い考えで店に出向いた私は、腰に痛みをきたすほどにあちらこちらのソファに座り、あげく何ひとつお気に入りに出会うことができぬままニトリを後にするという、大失態をおかすことになってしまった。
1~2万円のものならまだしも、5~6万円ともなればわが家では大金だ。まっ、いいかな、で妥協できる金額ではない。
選択肢はふたつにひとつ。
1. 買うのをやめてソファなしの生活にする。
2. 気に入るソファに出会えるまでとことん探し回る。
私的には1の選択肢がミニマリストっぽくて良かったのだが、家族の大反対にあいあえなく断念。
となると、探すしかない。
が、ここに至ってはたと気づく。
探すったって、ニトリ以外のどこで家具を売っているのだ!?
以下、放浪の記録。
◆IKEA
イケアの家具はとにかくサイズが大きい。外国仕様なのかもしれないが、奥行きが1メートル近いソファなんて、家に入る気がしない。入っても、リビングで人がちっちゃくなって生活しなくちゃいけない。よって却下。
◆イオン
インテリアコーナーに申し訳程度に置かれていたソファが数個。座ってみたがピンと来ない。安くもない。
◆ 無印良品
先々代のソファが無印だった。可も無く不可もなくで、もう一度購入をしたいとは思えなかった。けど、ひょっとしたら改良されて座り心地が良くなってるかも、の希望的観測でもってとりあえず店舗へ。でもって、やっぱり可も無く不可も無く……のわりには高い。
◆ 通販
見た目だけでソファは選んじゃいけない。ニトリでそう学んだので、基本、通販でのソファ購入はあり得ないのだが、とにかく買えるところがないので、とりあえず、とりあえずだけ見てみた。
ディノス、ベルメゾン、Amazon。
でも、やっぱり無理。ここで買うくらいなら、座り心地の確かめられるニトリのほうがまだマシという結論に。
結論が出たのはいいが、これでソファを買える場所がなくなった……。
家具を買うって、こんなに大変なことになっていたのか、と改めて実感。
そして、大塚家具へ
家から行かれる範囲に大塚家具があるのは知っていた。知っていたけれども、今まで一度たりとも足を踏み入れたことはなかった。
少し前までは会員制のお店で、会員登録をしないと買い物ができなかった。店に入った途端に担当の人がつきっきりになるとかで、想像するだに恐ろしすぎて、近づこうとすら思わなかったのだ。
が。
少し前から大塚家具は変わっている(はず)。
社長が交代し、会員制を廃止。家具も桁がひとつ違うんじゃないかと思うような高級家具だけでなく、中価格帯の家具を強化。
庶民でも、な、なんとかなるんじゃないか。
追い詰められた私は、ついに電車に乗って大塚家具へと出向いた。
大塚家具に到着
店の入口から中の様子をうかがう。開放的な明るい店内にひとまずホッとする……のもつかの間。タブレットを片手にした店員さんが店内を歩き回っているのが目に入る。
あれが噂のつきっきり部隊か?!
ひとたび店に入ったら、何か買うまで出てこられないんじゃないか。不安が脳裏をよぎる。
だが、その店員の横を何食わぬ顔で通りすぎるオバサンの姿を発見!
年格好といい、庶民な感じといい、私と大して違わない。いや、化粧をしているだけ私のほうがマシかもしれない。
何を隠そうこの私、化粧があまり好きではない。近所のスーパーくらいならいつもすっぴんで出向いてしまう。友人にばったり出くわして、しまったと思うことは多々あるが、それでもやっぱりノーメイクの快適さはくせになる。
けれど、この日はしっかりと化粧をしていた。
化粧をしたからといって、美人になるとか、若返るとか、そんなことは一切ないのだが、敵地に乗り込むには化粧は欠かせない。あくまでもこっち側の気分の問題なのだが、化粧をすることによって防御力は確実にレベルアップする。
いざ店内へ
よしっ、大丈夫、何とかなる。
一歩足を足を踏み出す。
えいやっ、と店内に入る。
とりあえず、店員さんは寄って来ない。よしよし。さっそくソファの物色だ。
おぉ、最初の1脚から抜群の座り心地だ。値段もそこそこ。だけどダメだ、二人がけだ。
次のソファはすわった途端にゆったりと体を包み込んでくれる。大きさも申し分ない。だけど少し柔らかすぎるか。
お次は少し固めのソファ。悪くはないのだが、背もたれが少し低い。寝転ぶにはいいが、座ってテレビを見るにはちょっと辛いか。
そして次……へ行こうとした時に、店員さんがあらわれた。
あぁ、やっぱりそう来るのね。
ニトリの放置プレイにすっかり慣れていたものだから、声をかけられるとやはり戸惑う。
天使な店員さん登場
けれど、その店員の女性はすこぶる感じが良くて、強引なところがこれっぽっちもない。家電量販店の強引な接客のことを思えば、大塚家具の彼女なんて天使のようだ。
でも、油断してはいけない。ここは大塚家具だ。
高級をソファをすすめられるのは本意ではないし、相手にしてみたって、安物しか買わない客に貴重な時間を費やしたくはないだろう。
事前に大塚家具のサイトでソファのだいたいの値段をチェックしてあったので、まっさきにこちらの要望を伝えた。
ソファは3人がけ。布製。ネコがいてすぐにボロボロにされてしまうので高いソファはいらない。出せても10万円まで。
10万円と聞いて彼女の態度が変わるなら、それはそれで仕方ない。彼女とはそれまでの付き合いだったのだ。
けれど態度が変わるどころか、彼女はそこから更に熱心にソファ探しにつきあってくれた。
薦められたソファに座るたびに、そのソファの特徴、座り心地、良い点、悪い点などを丁寧に説明してくれる。知識量の豊富さに、驚きを通りこして尊敬の念すら覚えてしまう。
ひと通り座り終えたところで、もう一度気になるソファに座りなおしてみたくなった。けれど、ここからさらに彼女に(良い意味で)つきっきりになってもらうのは申し訳ない。
もう少し座りくらべてみたいので、決まったらまた声をかけさせてもらいます。
そう伝えると、彼女は嫌な顔ひとつせず、にっこりと微笑みながら立ち去った。
気になるソファに座りなおすことしばし。
あれかな、これかな、と2つ程度にしぼりこんだ時に、ふたたび彼女が現れた。
見てたよね、私のことどこかで見てたよね(笑)
と思うような絶妙なタイミングだった。
このソファに決めた!
うーん、うーん、うーんと悩んで、そして決めた!
テーブル席に案内される。イスに座るとメニューを見せられ「お飲み物は何しますか?」と聞かれた。まるで喫茶店のようだなと思いつつ緑茶を選ぶ。
その後、購入品の確認。ソファの脚の色が2色から選べるとかで、濃いほうの色をチョイスする。納期を決めて、金額を確認して、クレジットカードを渡す。
クレジットカードだと大塚家具のポイントが1パーセント、現金かデビットカードだと3パーセントがつくと言われるが、クレジットカードしか持っていなかったので、それで支払うことに。
あぁ、幸せ(笑)
今までの経験上、高い買い物をした時は支払いの段階になると、汗びっしょりになっていることが多い。それだけ真剣に商品を選んでいたってこともあるが、
高い買い物をしてしまった……。
というほんのちょっとの後悔と、
今ならまだ間に合う、取り消すなら今だ!
ともうひとりの私の悪あがき。そのふたつが混ざり合って、何とも言えない気分になるのだ。欲しくて欲しくて仕方のなかったものを買った時ですら、後悔はゼロではない。
ところがどうしたことだろう。今回はこの嫌な汗をまったくもってかいていなかったのだ。
あぁ、良い買い物をした。
と心の底からふわふわと湧き上がって来る幸福感。何が私をここまで幸せにしてくれたというのだろう。
彼女の見事な接客?
満足のいくソファを見つけられたこと?
庶民なりのちょっとしたセレブ気分?
とにかく、こんなに気分良く高い買い物をすることができたのは、初めてなんじゃないかと思うくらい、1ミリの後悔もない買い物だった。
次にまた家具を買う時は、絶対にここに来ようと思ったのは言うまでもない。
ちなみに。
大塚家具のソファに一度でも座ってしまうと、「お値段以上」でお馴染みのあの店のソファは、もはやソファの形をしたクッションにしか思えなくなってしまった。
はじめての一人暮らしとか、とりあえず1~2年使うだけとか、そういった用途に限っていえば、お手頃価格で家具が買えるのは本当にありがたいのだが、安くて良い家具を探すとなるとちょっと違う気がする。
などと……、8万円のソファを大塚家具で買った私が偉そうに語ってみた。
(^◇^;)
追記
たまたま当たった店員さんが優秀すぎたのか?
と思ったりもしたのだが、後日、大塚家具に行った時(←すっかりクセになってますww)接客してくれた男性店員さんもひじょーに感じの良い方だった。
その時は、腰の痛みに耐えかねてのデスクチェア探しだった。
結局、何も買わずにお店を後にしたのだが、こんな私にも終始ていねいな対応で、大塚家具の社内教育恐るべし、と心の中で何度つぶやいたことか。